スマホ首・ストレートネック
とは
「スマホ首」または「ストレートネック」とは、本来ゆるやかなC字カーブを描いているはずの首の骨が、まっすぐになってしまう状態を指します。
主な原因は、スマートフォンやパソコンを長時間使用する際に、顔を前に突き出して下を向く姿勢を続けることです。これにより、頭の重さ(体重の約10分の1)が首にダイレクトにかかり、首や肩の筋肉に過度な負担がかかります。
症状としては、首や肩のこり、痛み、頭痛、めまい、目の疲れ、手のしびれなどが挙げられます。進行すると、椎間板ヘルニアなどの重篤な状態につながる可能性もあります。
スマホ首・ストレートネックは日本人に多い?現代病?
「スマホ首」または「ストレートネック」は、現代のライフスタイルに起因する「現代病」の一つであり、特に日本人に多い傾向が見られます。
スマートフォンの急速な普及と長時間の使用、またパソコンでのデスクワークの増加により、顔を前に突き出して下を向く姿勢が常態化しています。この姿勢が首の骨の自然なC字カーブを失わせ、まっすぐな状態にしてしまうため、世界的に問題視されています。
日本は世界的に見てもスマートフォンの普及率が非常に高く、多くの人が長時間利用しています。
通勤電車での利用、自宅でのエンターテイメント、情報収集など、生活のあらゆる場面でスマホが手放せない状況です。
この長時間利用が、うつむき姿勢の常態化を招いています。
また、国民性として猫背気味の人が多いことや、運動不足なども関係している可能性があります。
また、体格や骨格の個人差も影響し得ます。これらの複合的な要因が、日本における「スマホ首」の多さに繋がっていると考えられます。
スマホ首・ストレートネックの
原因
スマホ首やストレートネックの主な原因は、長時間の不適切な姿勢に集約されます。
- スマートフォン・パソコンの長時間使用:顔を前に突き出し、顎を引かずにうつむく姿勢を続けてしまう。
- 猫背や前かがみの姿勢:猫背や、前かがみになる作業が負担となる。
- 運動不足による筋力低下:重たい頭を支える首への負担が増える。
これらの要因が複合的に作用し、首の正常なカーブが失われることで「スマホ首」や「ストレートネック」が引き起こされます
スマホ首・ストレートネックの
初期症状
スマホ首・ストレートネックの
検査・診断
ほとんどの場合、レントゲン撮影が必須となります。レントゲンでは、首の骨の配列やカーブの状態が明確に確認でき、カーブが失われまっすぐになっているか、あるいは逆カーブになっているかが診断されます。これにより、ストレートネックの有無や程度を客観的に評価できます。
また、必要に応じてMRI検査が行うこともあります。
MRIは、神経を中心に椎間板、靭帯などの軟部組織の状態を詳しく評価できるため、神経の圧迫や椎間板の損傷など、より詳細な病態を確認するのに役立ちます。これにより、症状の原因がストレートネックをくわしく調べる必要がある場合、より深刻な随伴症状を認める場合に、適切な治療方針を立てることへの活用のため検査を行う必要があります。
程度が軽い、重たいは見極めが非常に難しく、整形外科受診での受診をお勧めします。
スマホ首・ストレートネックか確かめる方法は?
自分でわかる?
枕を使わずに、
仰向けに寝てみましょう
この時、顎が不自然に突き上がっていたり、首の後ろに大きな隙間ができていたり、首に違和感や痛みを感じる場合は、ストレートネックの可能性があります。
耳たぶの位置を
確認しましょう
ご自身で鏡を横から見て耳たぶの位置が、肩の真上よりも前に出ている場合、首が前に突き出している状態であり、ストレートネックの兆候が見られます。
誰かに真横から写真を撮ってもらい、客観的に確認するのも有効です。
ただしこれらはあくまでもセルフチェックであり、最終的な判断はレントゲン検査や場合によってはMRIなどの検査を要します。自己判断は非常に難しいため整形外科専門医受診をお勧めします。
スマホ首・ストレートネックの
治療
薬物療法
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)や筋弛緩剤、神経障害性疼痛治療薬を使用します。
物理療法
温熱療法や電気療法、牽引療法を行います。
ただし、症状によっては適応外となる場合もあります。
リハビリテーション
理学療法士による指導
専門の理学療法士が、個々の患者さんに合わせた姿勢指導や運動療法を行います。正しい姿勢の維持、首や肩周りの筋肉の柔軟性向上、体幹の安定性を高めるための運動などを指導します。
徒手療法
理学療法士が手技を用いて、硬くなった筋肉をほぐしたり、関節の動きの改善を目指して行います。
装具療法
あまり使うことは少ないですが、一時的に頚椎カラーなどを装着し、首の安静を保つことで、痛みや炎症を軽減させることがあります。
注射療法
痛みが強い場合、点滴で炎症を抑える薬を使うこともあります。
ストレートネックは
寝て治せる?
ストレートネックの改善には、仰向け寝で、首の自然なカーブを保つことができる枕を使うことが推奨されます。
寝る前の習慣
- ストレッチ: 寝る前に首や肩周りの軽いストレッチを行うことで、筋肉の緊張をほぐし、リラックスして眠りに入ることができます。
- 入浴: 湯船に浸かることで、血行が促進され、筋肉が緩みやすくなります。
もし睡眠中に首や肩の痛みが続く場合は、整形外科を受診することをおすすめします。当院では整形外科専門医が診察を行います。また、リハビリテーションは有国家資格である理学療法士が行います。お気軽にご相談ください。
ストレートネックには
低い枕が良い?
理想的な寝姿勢
- 仰向け寝: 首の負担が少なく、自然なカーブを保ちやすいとされています。ただし、枕の高さが合っていないと逆効果になるため注意が必要です。
- 横向き寝: 完全に避ける必要はありませんが、首から背骨が一直線になるような高さの枕を選ぶことが重要です。寝返りを打つ際の頭の安定性も考慮しましょう。
適切な枕選び
- 高さ: 仰向けで寝たときに、高すぎず低すぎず、首と枕の間に隙間ができないものが良いです。
- 素材と形状: 頭や首をしっかり支え、寝返りが打ちやすいものを選びましょう。
- タオル枕: 市販の枕が合わない場合、バスタオルを丸めて首のカーブに合わせる「タオル枕」を試すことも有効です。
枕なしで寝ることは、首が反りすぎてしまうため、ストレートネックを悪化させる可能性が高いです。