- 枚方近くのリウマチ科
- 関節リウマチと間違えやすい(似ている)病気は?
- 子どももリウマチになる?
- 関節リウマチの原因、なりやすい人
- 関節リウマチの初期症状
- 関節リウマチの検査・診断
- 関節リウマチの治療
- 関節リウマチ治療の目標
- 関節リウマチを放置するとどうなる?
枚方近くのリウマチ科
リウマチは、関節や筋肉、骨などに痛みやこわばりが生じる病気の総称です。一般的には「関節リウマチ」を指すことが多いです。
免疫の調整異常により、関節にある滑膜という組織に炎症が起こる自己免疫疾患です。炎症が慢性化すると、関節の軟骨や骨が破壊され、関節の変形や機能障害を引き起こします。
30歳から60歳代での発症が多いとされていますが、最近では高齢者でも発症することがみられます。性別としては女性の約3-4に対して男性約1と女性に多い病気です。
一般的にリウマチは関節リウマチのことを指しますが、関節に症状がでる病気は、他にも膠原病、血管炎など多岐にわたっています。
明確な原因は解明されていませんが、遺伝的な要因と環境要因(細菌やウイルスの感染、喫煙、ストレスなど)が複雑に関与して発症すると考えられています。
関節リウマチは変形性膝関節症などとの区別が難しく、整形外科で治療することが多い病気の一つです。
当院では関節リウマチ患者さん用の説明資材を用意してわかりやすい説明を心がけています。些細な症状でもお気軽に当院へご相談ください。
リウマチ科と整形外科の違いは?
リウマチの診療科を選ぶ際、整形外科と膠原病内科はどちらの診療科目もリウマチ診療を行っています。どちらが良い、悪いということは全くなく、それぞれの得意分野を持って患者さんにとって最善の医療を提供しています。
整形外科
普段から骨、関節、筋肉、神経など運動器系の病気の診療にあたっており、関節痛を自覚し、受診する患者さんも多く、リウマチ患者さんは整形外科に通院されていることが多いです。
リウマチにおける役割
関節の痛みや変形など、運動器系の症状が主な場合に、症状の緩和や機能改善を目的とした治療を行います。
具体的には、関節注射、装具療法、リハビリテーション指導などを行います。
変形が進行した場合には、手術(人工関節置換術、外反母趾手術など)を検討することもあります。
お薬の処方・調整が可能で、装具治療などの治療を提供することができます。
普段から手術をしている診療科のため手術のタイミングの見極めをしやすい診療科になります。
リウマチ以外の症状が合併した場合であったりした場合、膠原病内科の先生へご相談することも多々あり、お互いに連携をとって治療にあたっています。
膠原病内科
主な役割は、免疫系の異常によって起こる病気(膠原病)を専門に扱う診療科目です。
リウマチ疾患の多くは膠原病に含まれます。
リウマチにおける役割
関節の炎症だけでなく、全身の臓器に症状が現れる可能性があるリウマチ性疾患に対して、病気の根本的な原因を探り、進行を抑えるための薬物療法を中心とした治療を行います。
関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、血管炎など、多岐にわたるリウマチ性疾患を診療します。
早期診断を行い、適切なお薬を選択し、病気の活動性をコントロールすることを目指します。
膠原病内科の先生は関節リウマチをはじめとした関節痛のみならず、皮膚の病気、目や口が乾く、といったリウマチと似たような関節痛をお持ちで、かつ、その他の症状を呈する場合、膠原病の対応をすることができるという利点があります。
当院はどちらを受診すべきか、という考えではなく、患者さんの状態に合わせて当院だけでなく、必要であれば連携し、膠原病内科の先生に診ていただくことも行います。
まずは当院にお気軽にご相談ください。
関節リウマチと間違えやすい(似ている)病気は?
関節リウマチと間違えやすい、または似た症状を示す病気はいくつかあります。主なものを以下に挙げます。
変形性関節症
関節の軟骨がすり減ることで起こり、関節の痛みや変形が生じます。特に、指の第一関節が腫れたり、中年以降の女性に多いことから関節リウマチと間違われやすいです。しかし、変形性関節症は安静時の痛みが少ないのに対し、関節リウマチは朝のこわばりや安静時にも痛みが出やすいという違いがあります。
線維筋痛症
全身の慢性的な痛みが主な症状で、関節痛と間違われることがありますが、関節の腫れや炎症は見られません。
痛風・偽痛風
関節に結晶がたまることで炎症が起こり、激しい関節痛が生じます。特に痛風は足の親指に起こりやすいですが、他の関節にも起こることがあり、関節リウマチと間違われることがあります。
リウマチ性多発性筋痛症
高齢者に多く、肩や腰の痛み、こわばりが急に起こります。関節リウマチと似た症状が出ますが、主に筋肉の痛みが強く、関節の破壊は起こすことは少ないです。
関節リウマチ以外の膠原病
全身性エリテマトーデス(SLE)やシェーグレン症候群など、他の膠原病でも関節痛が見られることがあります。これらの病気では、関節以外の症状(皮膚症状、ドライアイ・ドライマウスなど)を伴うことが多いです。これらのご病気は上にも書いていますように膠原病内科の先生に診ていただくことが多い病気の一つになります。
感染性関節炎
細菌やウイルス感染によって関節に炎症が起こります。急な発症と、一つの関節に強い炎症が見られることが多いのが特徴です。
更年期の関節症状
女性ホルモンの変動により、一時的に関節痛やこわばりが現れることがあります。
これらの病気との鑑別には、診察、血液検査、X線検査、関節エコー検査などが行われることが多く、すべて当院で検査可能です。心配な場合はお気軽に当院へご相談ください。
子どももリウマチになる?
小児期に起こるリウマチ性疾患の中で最も多いのは、「若年性特発性関節炎(JIA: Juvenile Idiopathic Arthritis)」です。これは、16歳未満で発症する、原因不明の慢性関節炎の総称です。
JIAの主な症状としては、以下のようなものがあります。
関節の痛みと腫れ
手首、膝、足首などの関節が痛んだり、腫れたりします。朝に症状が強く、こわばりを伴うこともあります。
発熱
高い熱が数日から数週間続くことがあります。熱がないときは比較的元気なことが多いです。
発疹
熱が出るときに、サーモンピンク色の発疹が出ることがあります。かゆみはなく、熱が下がると消えることが多いです。
その他
リンパ節の腫れ、肝臓や脾臓の腫れ、目の炎症(ぶどう膜炎)などがみられることもあります。
JIAにはいくつかのタイプがあり、症状や経過が異なります。
当院でも診療は可能ですが、小児科の先生へご紹介することが多い病気の一つとなります。
関節リウマチの原因、なりやすい人
関節リウマチの正確な原因は、残念ながら現代医学をもってしても完全には解明されていません。
遺伝的要因、環境要因、ホルモンバランスなど、複数の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
遺伝的要因(生まれた時からの要素)
特定の遺伝子型を持つ患者さんは、関節リウマチを発症しやすいことがわかっています。複数の遺伝子が関節リウマチの発症リスクに関与していると考えられています。
家族歴
家族に関節リウマチの人がいる場合、発症リスクが高くなる可能性が報告されています。
環境要因(生まれた後の環境などで関連する要因)
喫煙
喫煙は、関節リウマチの発症リスクを高めることが示されています。また、喫煙は関節リウマチの症状を悪化させ、薬物療法への反応を悪くし、合併症を増やす可能性もあります。
感染症
特定のウイルス感染が、遺伝的に感受性の高い人にリウマチを発症させるきっかけになる可能性が示唆されていますが、まだ明確な証拠はありません。
その他の要因
肥満、歯周病、特定の食習慣(赤肉の過剰摂取、ビタミンCの不足など)も、関節リウマチのリスクに関与する可能性が研究されています。
ホルモン要因
関節リウマチは女性に多いと言われており、出産後や更年期などホルモンバランスが大きく変化する時期に発症しやすい傾向があります。このことから、女性ホルモンが関節リウマチの発症や進行に関与している可能性が現在も研究が行われています。
きっかけ
患者さんの中には、精神的ストレス、肉体的外傷、出産、感染症などをきっかけに発症したと感じる方もいますが、これらの要因が直接的な原因であるかは明らかになっていません。
このように、関節リウマチは単一の原因で起こるのではなく、遺伝的な体質を持つ人が、喫煙や感染症などの環境要因やホルモンバランスの変化などが複雑に影響し合うことで、免疫システムの異常を引き起こし、発症に至ると考えられています。
関節リウマチの初期症状
関節リウマチの初期症状は、人によって様々ですが、一般的には以下のような症状が現れることが多いです。
関節の痛みと腫れ
手指、手首、足の指などの小な関節から始まることが多いですが、肘や膝などの大きな関節に現れることもあります。左右対称に症状が出やすいのが特徴です。
手指、足が痛い、第一関節が痛い、指が変形してきたということに困られ受診されることが多いです。
朝のこわばり
朝起きた時に関節がこわばって動かしにくい感じがし、30分以上続くことがあります。
朝にお箸が使いにくい、朝一が動きにくく困るということに困られ受診されることが多いです。
疲労感・倦怠感
関節の症状だけでなく、体がだるい、疲れやすいといった全身症状を伴うことがあります。
関節リウマチの治療において、近年では、「目標達成に向けた治療(Treat to Target; T2T)」という考え方が重要視されており、定期的に病状を評価し、目標とする寛解に向けて治療内容を調整していきます。そのため早期受診が患者さんの生活の質を維持、向上する重要なこととなります。関節リウマチの治療は、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、治療を進めていくことが重要です。
当院へ診察、採血、関節エコー、レントゲン検査、リハビリテーションすべて対応可能ですので、些細な症状でもお気軽にご相談ください。
関節リウマチはどの指から?
関節リウマチは、手や指の関節から症状が出始めることが多いです。
具体的には、以下の関節に初期症状が出やすいとされています。
指の付け根の関節、指先から1~2番目の関節、これらの小さな関節に、痛み、腫れ、こわばりなどの症状が現れることが一般的です。
ただし、関節リウマチの症状の出方は人によって異なり、必ずしも手指から始まるとは限りません。足の指、手首、肘、膝などの関節から始まることもあります。また、左右対称に関節炎が起こることが多いとされていますが、初期には非対称性のこともあります。
関節リウマチは早めの治療が患者さんの生活の質を保つ第一歩となります。
些細なことと思わずに、気になることがあれば当院へお気軽にご相談ください。
更年期で関節が痛くなる?
更年期障害には関節痛を伴うことがあります。
エストロゲンの減少
女性ホルモンであるエストロゲンは、関節の軟骨を保護する働きがあります。更年期に入るとエストロゲンの分泌量が急激に低下するため、関節が炎症を起こしやすくなり、痛みが生じることがあります。また、エストロゲンには痛みを和らげる作用もあるため、分泌量の低下によって痛みを感じやすくなることもあります。
加齢による変化
加齢とともに、関節の軟骨がすり減ったり、関節周囲の筋肉や靭帯が衰えたりすることも、関節痛の原因となります。更年期と加齢による変化が重なることで、より関節痛を感じやすくなることがあります。
その他の要因
体重増加による関節への負担、運動不足、ストレスなども関節痛を悪化させる可能性があります。また、関節リウマチや変形性関節症といった病気が、更年期の年代に発症しやすいことも知られています。
ただし症状としては関節リウマチなどの関節炎疾患との鑑別が、自己判断は非常に難しいため整形外科受診をお勧めします。
更年期障害に伴う関節痛は整形外科と婦人科の先生と共同して治療にあたることが多いです。必要時、紹介して共同で治療を提供することでより良い生活を送るお手伝いをさせていただきます。関節痛があればお気軽に当院へご相談ください。
関節リウマチの検査・診断
当院では問診、触診に加えて、血液検査と画像検査を中心に行います。
これらの検査を組み合わせることで、関節リウマチの診断、病気の活動性や進行度の評価、治療効果の判定などを行います。
血液検査
血液検査では、炎症の状態やリウマチに特徴的な自己抗体などを調べます。主な検査項目は以下の通りです。
炎症反応
CRP(C反応性タンパク)
体内の炎症の程度を示す全般的な指標です。
赤血球沈降速度(血沈)
慢性的な炎症の程度を示す全般的な指標です。
自己抗体
リウマトイド因子(RF)
リウマチ患者さんの多くで陽性となりますが、他の病気や健康な高齢者でも陽性となることがあります。
抗CCP抗体(抗シトルリン化ペプチド抗体)
リウマチに特異性が高く、早期診断に有用です。陽性の場合は、リウマチである可能性が高いとされます。
MMP-3(マトリックスメタロプロテアーゼ-3)
関節破壊に関わる酵素で、病気の活動性や進行度、治療効果の判定に用いられます。
抗核抗体(ANA)
他の膠原病との鑑別に用いられる項目です。
白血球など血球、電解質、肝機能・腎機能など
リウマチ以外の要素の確認、お薬の適合性、治療薬の副作用などを確認するために行われます。
画像検査
画像検査では、関節の状態や炎症の程度を評価します。主な検査は以下の通りです。
レントゲン検査
関節の骨の変化(関節のすきまが狭くなっていないか、骨が変に硬くなっていないかなど)を確認します。リウマチの進行度を評価するために定期的に行います。
エコー検査
関節内の炎症(炎症の程度、関節液が貯まっていないかなど)などを早期に発見するのに有用です。リアルタイムに関節の状態を観察できるため、病気の活動性を評価するのにも役立ちます。
MRI検査
骨、軟骨、靭帯、滑膜などの状態を詳しく調べることができ、早期のリウマチによる変化や炎症の程度をより詳細に評価できることがあります。
関節リウマチの治療
関節リウマチの治療は、早期に開始し、病気の進行を抑え、痛みを取り除くことを主な目的としています。近年では、関節の腫れや痛みがほとんどない「寛解」を目指せるようになっています。
治療は、患者さんの状態に合わせて、以下の方法を組み合わせていきます。
薬物療法
関節リウマチの治療の中心となるのは薬物療法です。様々な種類の薬を用い、病状に合わせて使い分けられます。
- 抗リウマチ薬
- 非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)
- 副腎皮質ステロイド
- 生物学的製剤
- JAK阻害薬
などが代表的な薬となります。
薬にはそれぞれメリット、デメリットがあり、患者さん一人一人にあわせた薬の選択が必要となります。
また、関節リウマチは骨粗鬆症を併発することも多く、骨密度検査・骨粗鬆症治療も重要な治療の一角となります。
当院では整形外科専門医、骨粗鬆症専門医である院長が診療を行います。
些細な症状でもお気軽にご相談ください。
リハビリテーション・理学療法
薬物療法と並行して行うことで、関節の機能維持や改善、痛みの緩和、日常生活の質の向上を目指します。
運動療法
関節の可動域を広げる運動や、筋力維持のための運動などを行います。
温熱療法
温めることで血行を促進し、痛みを和らげます。
装具療法
関節を保護したり、変形を予防したりするために装具を作成します。
手術療法
薬物療法やリハビリテーションで十分な効果が得られない場合や、関節の破壊が進行した場合に検討されます。適切な医療機関へ紹介し、手術を受けていただくことになります。
滑膜切除術や人工関節置換術が代表的な手術となります。
関節リウマチ治療の目標
近年では、「目標達成に向けた治療(Treat to Target; T2T)」という考え方が重要視されており、定期的に病状を評価し、目標とする寛解に向けて治療内容を調整していきます。
関節リウマチの治療は、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、治療を進めていくことが重要です。
まずは当院へお気軽にご相談ください。
関節リウマチは治る?
関節リウマチは、現在の医学では残念ながら完全に治すことは難しいとされています。しかし、早期に発見し適切な治療を行うことで、症状を大幅に改善し、関節の破壊を防ぎ、病気の進行を遅らせることが可能です。
近年、治療法が進歩しており、早期に治療を開始することで、寛解(かんかい:病気の症状がほとんどない状態)に達する患者さんも増えています。寛解の状態を長く維持できれば、薬を減量したり中止したりできる場合もあります。
治療の目標は、単に痛みを抑えるだけでなく、関節の破壊を防ぎ、日常生活を支障なく送れるようにすることです。そのためには、薬物療法を中心に、装具治療、リハビリテーションを組み合わせた治療が行われます。
大切なことは、早期に診断を受け、適切な治療を開始することです。
気になる症状がある場合は、当院までお気軽にご相談ください。
関節リウマチを放置するとどうなる?
関節リウマチを放置すると、以下のような様々な問題が生じる可能性があります。
関節の破壊と変形
炎症が持続することで、関節を構成する骨や軟骨が破壊され、関節の変形が進行します。特に発症後1~2年で急速に進行することがあり、早期に診察及び検査、治療介入することが重要と言われています。
指や足の指が曲がったり、関節の動きが制限されたりします。
進行すると、骨同士が癒着して動かなくなることもあります。
日常生活への支障
激しい関節痛により、日常生活の動作(歩く、立つ、座る、物を掴むなど)が困難になります。
関節の変形や機能障害により、家事や仕事に支障が出たり、介助が必要になったりし、生活の質が著しく低下してしまいます。
関節リウマチは関節だけの病気ではなく、全身性の炎症性疾患です。
放置すると、以下のような合併症のリスクが高まります。
・肺疾患
・心臓病
・腎機能障害
・骨粗鬆症
・皮膚や目の病気
関節リウマチは早めの受診、治療が非常に大事な病気です。
些細なことでも気がかりなことがあればお気軽に当院を受診ください。