季節の変わり目に多い肩の痛み。その原因と対策をご紹介
涼しい風が心地よく感じられる季節になりました。
ですが、「なんだか肩が重い…」「腕を上げようとすると肩がズキッと痛む」といった体の不調を感じていませんか?
その痛みは季節の変わり目に悪化しやすい、「肩関節周囲炎」のサインかもしれません。
今回は、この時期に肩の痛みが増す理由と、その対処法についてお話しします。
なぜ季節の変わり目に肩が痛くなるのか?
実は、気温の変化は肩の痛みと深く関係しています。
1. 気温の低下による血行不良
秋から冬にかけて気温が下がると、体は体温を保つために毛細血管を収縮させます。これにより、肩周りの筋肉や腱への血行が悪くなり、十分な酸素や栄養が行き渡らなくなります。血行不良が続くと筋肉が硬くなり、ちょっとした動きでも炎症を起こしやすくなってしまうのです。
2. 運動不足による筋肉が硬くなる
涼しくなると、外での活動が減り、運動不足になりがちです。これにより、肩周りの筋肉や関節を動かす機会が減り、筋肉が硬くなります。硬くなった筋肉や関節は、急な動きに対応できず、痛みを引き起こす原因となります。
3. 冷えによる自律神経の乱れ
寒さを感じると、私たちの体は交感神経が優位になります。交感神経が活発になると、筋肉は緊張しやすくなり、痛みを増幅させることがあります。肩の痛みに加え、夜間に痛みで目が覚める「夜間痛」が起こりやすいのも、この自律神経の乱れが一因と考えられています。
それって「五十肩」じゃないの?
一般的に「四十肩」や「五十肩」と呼ばれていますが
医学的な病名は「肩関節周囲炎」です。
肩関節周囲炎には、3つの時期があります。
炎症期(急性期)
肩に鋭い痛みが走り、痛みが強く出る時期です。
拘縮期(慢性期)
痛みは少し和らぎますが、肩の動きが制限されてします時期です。
この時点で放置すると肩の動きが強く制限されてしまうことも多いため
早期介入が肩の痛みには重要です。
回復期
炎症が落ち着いてくると自然と徐々に可動域が回復してくることもあります。
しかし未治療の場合、癒着(周りの組織とくっついてしまうこと)を起こすこともあり
思わぬ結果になってしまうことがあります。
「いつか治る」と放置する方もいますが、早めの炎症期に適切な治療を受けないと
その後のリハビリが大変になったり、場合によっては肩の動きが
完全に元に戻らなかったりするリスクがあります。
予防と対処法
肩の痛みを和らげ、悪化を防ぐために、日常生活でできることをご紹介します。
1. 体を冷やさない工夫
冷えは慢性期以降の肩の痛みを悪化させる最大の敵です。
カーディガンやストールで肩周りを温めたり、お風呂にゆっくり浸かって
体を芯から温めたりすることを心がけましょう。また、冷たい飲み物を避け、温かいものを飲むのも効果的です。
2. 簡単なストレッチで血行促進
肩甲骨を動かすストレッチや、腕をゆっくり大きく回す運動は
血行を促し、筋肉の硬直を防ぐのに役立ちます。
無理のない範囲で、毎日少しずつ続けることが大切です。
3. 痛みが続く場合は整形外科専門医へ相談
「痛み止めを飲んでも良くならない」
「腕が上がらなくなってきた」
という場合は、早めに整形外科を受診してください。
特に、炎症期は適切な治療で痛みを抑えることが
その後のスムーズな回復につながります。
早めの治療、リハビリテーションが非常に重要です。
肩関節周囲炎は、適切な治療とリハビリによって良くなることがほとんどです。
当院では、整形外科専門医である院長が患者さん一人ひとりの
症状に合わせた治療プランをご提案し、専門の理学療法士が丁寧に
リハビリテーションをサポートいたします。
その辛い肩の痛みについて、お気軽に当院へご相談ください。

