整形外科における再生医療とは ― ヒアルロン酸から最先端の細胞治療まで ―
整形外科における再生医療とは
― ヒアルロン酸から最先端の細胞治療まで ―
整形外科では、“痛みを抑えるだけ”ではなく
体が本来持つ修復能力を利用して治療する再生医療が注目されています。
再生医療とは、体の細胞や血液成分を使って損傷した組織の修復を促す治療を指します。
今回は、整形外科でよく話題になる以下の治療について
それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。
ヒアルロン酸注射
PRP療法
PFC-FD療法
脂肪幹細胞治療
ヒアルロン酸注射とは
ヒアルロン酸はもともと関節液に含まれる成分で、関節の潤滑性を高め
動きを滑らかにする役割があります。
整形外科で広く用いられるヒアルロン酸関節内注射は
変形性関節症や半月板損傷などの痛み・機能改善のために広く使われています。
現在、医学的に必要と判断された場合のヒアルロン酸注射は健康保険が適用されます。
メリット
🟢 採血や手術が不要で、身体への負担が少ない
🟢 関節の滑りを改善し、痛みや炎症を緩和
🟢 保険適用で比較的安価に受けられる
デメリット
🔴 軟骨組織そのものを再生する治療ではない
🔴 効果は一時的で、定期的な注射が必要になる
🔴 重度変形例では十分な改善が得られない場合がある
👉 ヒアルロン酸注射は、初期〜中等度の症状の痛み緩和や
関節環境の改善を目指す治療として有用です。
PRP療法とは
PRP(Platelet-Rich Plasma)療法は、自身の血液を採血し、血小板を高濃度にした成分を関節に注射する治療です。
有名な二刀流メジャーリーガー、日本国内でもプロ野球選手、プロゴルファーが治療を受け、短期間でケガから復帰したことが広く知られた再生医療です。血小板には成長因子が豊富に含まれ、炎症抑制や組織修復を助ける作用が期待されます。
メリット
🟢 自己血液(約15cc)を使用するため安全性が高い
🟢 PFCに比べると治療時の採血量は少なめで比較的低侵襲
🟢 初期〜中等度の関節痛やスポーツ障害に向いている
デメリット
🔴 保険適用ではなく自費治療(当院では5,5000円/回(税込、2026年時点))
🔴 効果に個人差がある
PFC-FD(Platelet-derived Factor Concentrate Freeze Dry)療法とは
PFC-FD療法は、PRPをさらに進化させ、高濃度の成長因子を不要な炎症成分を除去しながら抽出・凍結乾燥する治療法です。
その結果、成分の品質と安定性が向上し、効果が比較的長く持続すると言われています。
メリット
🟢 成長因子が高濃度で安定
🟢 注射後の炎症反応が少ない
🟢 効果の持続が期待できる
デメリット
🔴治療時の採血量が多い(約50-60cc/回)
🔴 PRP療法に比べて治療費が高い(当院では160,000円/回(税込、2026年時点))
🔴 効果には個人差がある
🔴 初期〜中等度の関節痛やスポーツ障害に向いている
脂肪幹細胞治療とは
脂肪幹細胞治療は、患者自身の脂肪組織から幹細胞を取り出し
損傷部位に投与する再生医療です。
幹細胞には、軟骨・骨・靭帯などの組織修復に関わる能力があるとされ
比較的進行した変形性関節症にも適応の可能性があります。
メリット
🟢 再生能力を期待できる可能性がある治療法
🟢 長期的な症状改善が期待できる
🟢 自己細胞のため拒絶反応が起こりにくい
デメリット
🔴 脂肪採取のための手術に準じた処置が必要
🔴 自由診療で費用が高額(当院では2026年時点では取り扱いなし、おおよそ100-400万円/回)
🔴 効果が出るまで時間がかかる場合がある
再生医療と保険適用の現状
厚生労働省の承認を受けて保険適用される再生医療はごく限られています。
多くの再生医療(PRP療法・PFC-FD・幹細胞治療など)は
保険適用外の自由診療として提供されています。
一方、医学的に必要と認められる治療としてのヒアルロン酸関節注射は保険適用です。
この違いは、治療の対象やエビデンスの蓄積状況によって判断されています。
再生医療学会などでも再生医療について良好な治療成績数多く報告されており、
科学的根拠が蓄積されていっています。
2026年時点では自費診療ですが、今後の方向性について注目されている分野です。
どの治療を選ぶべき?
再生医療は万能ではなく、症状の進行度や患者さんの年齢、生活状況によって最適な治療が異なります。
当院では患者さんそれぞれに合わせた治療を提供します。
例えば、杖歩きだけど、家の中では何とか杖なしで歩きたい
歩けているけどもっと速く歩きたい、ゴルフを快適にプレーしたい、テニス肘を早く治して筋トレしたい
など患者さんそれぞれニーズは異なります。
当院では診察と画像検査を踏まえ、患者さんの症状やご希望に応じて最適な治療プランをご提案します。
再生医療についてご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

