夏に気をつけたい「痛風」について
照りつける日差しに、アスファルトから立ち上る熱気…。思わず『暑い!』と声に出てしまう毎日ですね。
夏になると、痛風の患者さんが多く来院される印象です。
「風が吹くだけでも痛い」と言われる、激しい関節の痛みを引き起こす痛風。
中高年の男性に多いイメージがあるかもしれませんが、最近は食生活の変化などから若年層や女性にもみられることがあります。
特に、暑い夏は痛風発作が起こりやすい季節です。
今回は、夏の痛風にフォーカスして、その原因や予防法についてお話ししたいと思います。
痛風とは?
足の指の付け根を中心として様々な関節に炎症を引き起こす疾患です。
血液中の尿酸の濃度が高くなりすぎることで、関節に尿酸の結晶が沈着し、炎症を起こす病気です。この結晶が剥がれ落ちたときに、白血球が異物とみなして攻撃することで激しい痛みを伴う炎症が起こります。これが痛風発作です。
なぜ夏は痛風になりやすいの?
夏に痛風発作が増えるのには、いくつかの理由があります。
1. 脱水による尿酸値の上昇
夏は気温が高く、汗をたくさんかきます。体内の水分が失われると、血液が濃縮され、尿酸の血中濃度も高くなります。通常、尿酸は尿と一緒に排出されますが、脱水状態になると尿量が減り、尿酸が体内にたまりやすくなります。
2. ビールや清涼飲料水の摂取機会が増える
暑い夏には、ついつい冷たいビール、ジュースを飲みたくなりますよね。ビールにはプリン体が多く含まれており、このプリン体が体内で分解されることで尿酸が作られます。また、ビールを飲むことで利尿作用が働き、一時的に脱水状態になりやすいことも尿酸値を上げる要因となります。さらに、ビールだけでなく、果糖を多く含む清涼飲料水の摂りすぎも痛風発作の要因となる可能性があり、注意が必要です。
3. 夏バテによる食事の偏り
夏バテで食欲が落ち、食事内容が偏ってしまうこともあります。水分補給として清涼飲料水ばかり飲んだり、プリン体の多いレバーや干物などを食べた後に水分を十分に取らなかったりすると、尿酸値が急上昇するリスクが高まります。
痛風発作はこんな症状から始まることも
痛風発作は、ある日突然、足の親指の付け根などが赤く腫れて、激痛を伴うことが多いです。しかし、患者さんによくお話を聞いていると発作の予兆として、数日前に関節に違和感やしびれを感じることもあります。もし、このような症状を感じた場合は、発作が起こる前兆かもしれません。
痛風の予防は「水分補給」と「食生活」がカギ
痛風の予防には、日頃からの生活習慣の見直しが不可欠です。
1. こまめな水分補給を心がける
痛風予防の基本は、水分補給です。特に夏場は、意識的に水分を摂るようにしましょう。ただし、清涼飲料水やジュースではなく、水やお茶などを選びましょう。これにより、尿量が増え、尿と一緒に尿酸を体外に排出しやすくなります。
2. アルコールを控える
ビールは特にプリン体が多いので、飲みすぎには注意が必要です。お酒を飲む場合は、量を減らしたり、プリン体の少ない蒸留酒(焼酎、ウイスキーなど)を選んだりするのも一つの方法です。しかし、アルコールそのものに尿酸値を上げる作用があるため、過剰摂取は避けるべきです。
3. 食生活を見直す
プリン体を多く含む食品(レバー、アンコウの肝、干物、魚卵など)の摂りすぎに注意しましょう。これらを完全に断つ必要はありませんが、食べる量や頻度を調整することが大切です。また、尿をアルカリ化する働きのある海藻類や野菜を積極的に摂ることも、尿酸の排出を助ける効果が期待できます。
4. 適度な運動
過度な運動は、一時的に尿酸値を上昇させる可能性がありますが、適度な運動は、尿酸値の管理に繋がります。無理のない範囲で、ウォーキングや水泳などの有酸素運動を継続的に行いましょう。
痛風発作が起きてしまったら
もし、痛風発作が起きてしまったら、まずは安静にして痛いところを冷やしてあげることが最も重要です。
そして、早めに医療機関を受診してください。放置すると、発作を繰り返したり、腎機能障害などの合併症を引き起こす可能性があります。
また、痛風発作は、細菌感染、リウマチの初期症状との鑑別が重要になりますため、整形外科が専門となる疾患です。
まとめ
痛風は、生活習慣病の一つであり、日頃の心がけで予防することができます。特に夏は、脱水や食生活の乱れから尿酸値が上がりやすい季節です。水分補給と食生活に気をつけ、健康な夏をお過ごしください。
もし、ご自身の尿酸値が気になる方、健康診断で高尿酸血症と指摘された方は、お気軽に当クリニックまでご相談ください。